老人ホームの種類っていっぱいあって分かりづらすぎる・・?


老人ホームの種類を知ってないと困る?

ある老人ホームに電話がかかってきます。

ぷるるる・・。がちゃ。

Aさん「もしもし、実は義母が骨折して歩けなくなったのですが、日中家族が皆仕事に出ていて義母以外は家にいません。介護できないので、どうか入所をさせていただきたいのですが・・」

施設長「はい、分かりました。お母様の認知症の程度はどれぐらいですか?」

Aさん「いえ、認知症はありません」

施設長「申し訳ありませんが、認知症の無い方は、当ホームには入所する事が出来ません」

これはよくある風景なのですが、家族がとにかく困っていろんな施設を見学に行ったり、評判を聴いたりして、

必死に探してやっといい感じな所があったのでと、電話してみると、そんなふうなんですよね。

こういう事が起こるのは、実は老人ホームの種類によって入所条件が違うからなんですが、

家族に急に介護が必要になった場合、入ろうとする老人ホームの種類を詳しく知っている人は少ないと思います。

そもそもが分かりにくいんですよね。名称もややこしいし。

例えば、「特別養護老人ホーム」が人気があると聞きますが、いい評判を聞きつけていざ入ろうと思っても

介護度「要介護3~5」までの人しか入れません(特例により要介護1,2の方が入れることもありますが)。

また、先程書いた認知症じゃないと入れない施設と言うのは、「認知症対応型グループホーム」なのですが、そんな事、誰も教えてくれません。

ややこしいですよね。

施設に見学に行き、いいホームを見つけ、じゃあ入所お願いしますとなっても、「あなたの親御さんは入れません」と言われる・・。

じゃあ、もう事前にどこなら入れるのか、知っておくしかないんですよね。

てな事で、ここには、老人ホームの種類と特徴、そして入所条件を書いていきたいと思います。

民間施設編

1,介護付き老人ホーム

・入所可能な介護度 → 自立~要介護度5 (ただし、自立と要支援の方は断られる可能性大です)

・年齢条件 → 60歳以上(ただし、施設によってはそれ以下でも受け入れるところがある。施設に相談)

・認知症の受け入れ → 可能

・特徴 → 介護サービス(食事、入浴、排せつのサービス)のついた老人ホーム。よって、「介護付き」の場合は、要介護状態の人が入所していることが多い。

・料金 → 料金設定はホームで自由に決められるため、ピンキリ。大体14万~30万ぐらいの所が多い。

ここがややこしいぞ! → 「有料老人ホーム」には、上記の「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」と「健康型有料老人ホーム」があります。

住宅型老人ホームは、ある程度の生活支援はしてくれますが重度化した場合の介護はついていないので、もし重度化し介護サービスが必要になった場合は、外部のサービスを契約するか転所する等の対応が必要になる場合があります(そのままでいい場合もあるので、施設に相談してみてください)。基本的には認知症がある方の場合、軽度の方のみの受け入れとなります。

健康型有料老人ホーム(自立型とも言います)は、食事などのサービスがありますが、後はほぼ自立している方の為のホームです。もし、介護が必要になった場合は、退去しなければなりません。

2,サービス付き高齢者向け住宅

「さこうじゅう(サ高住)」と略して呼ぶことが多いです。

・入所可能な介護度 → 自立~要介護3ぐらいまで

・年齢条件 → 60歳以上。 40歳以上で、要支援・要介護認定を受けていれば入所が可能。

・認知症の受け入れ → 軽度の方のみ(自分である程度の事は出来る)

・特徴 → 基本的には自立している人向けの住宅。

義務付けられているサービスは「安否確認」と「生活相談」。

 ※他の施設とは違い、夫婦・親族で同居知れている方もたくさんいらっしゃいます。

 また、施設数が多い為、介護度が低ければ比較的に入りやすいホームと言えますね。

 住宅型有料老人ホームと似た感じがしますが、サ高住のほうが自由度が高くプライバシーが保たれています。住宅型有料老人ホームの場合は、サ高住よりももう少し介護が必要な人が入るイメージです。

 また、生活が自由なので、決められた時間にレクリエーション活動、リハビリ等がありません。

・料金 → 相場は一ケ月15万円前後。

※ただし、高級サ高住等もあり、入所一時金が1000万越え、月額費用が40万越え等もあるので、入所を考えられる場合は、料金の確認を必ずするように。

3,グループホーム(認知症対応型生活介護)

通常「グループホーム」と呼びますが、「障害者グループホーム」や「精神科グループホーム」等もあります。

ここでは「認知症対応型グループホーム」の事を指します。

・入所可能な介護度 → 要支援2~要介護5まで

・年齢条件 → 基本的には65歳以上の方 ただし、若年性認知症者(40代以上)を受け入れるところもある。

・認知症の受け入れ → 軽度から重度まで可能。そもそも認知症者しか入れない。入所の際には、医師が認知症であると証明しないといけない。

 また、「地域密着型」といわれるサービスであり、施設のある市町村の人しか入れないという、条件がある。

・特徴 → 5~9人でユニットを組み、少人数での密な介護を受けられることが特徴。個室。

スタッフも介護職員、看護職員、ケアマネージャーが施設にそろっており専門的なケアを受けられる。

ただし、少人数対応である事と看取り介護を行う為、最期まで入所されているケースが多く、なかなか空きが出ない施設であると言える。

・料金 → だいたい15万~20万ぐらいの所が多い。介護費用以外の料金設定は自由なため、家賃や水光熱費、食費などに差が出る。

※以前は入居一時金(礼金敷金など)をよく徴収されていましたが、現在はそれが望ましくないとされ、一時金の徴収を辞めたところが多いですよ。

公的施設編

1,ケアハウス(軽費老人ホーム)

ここがややこしいぞ! いきなりややこしい事から書き始めますが、よく聞かれるのが「ケアハウス」と「軽費老人ホーム」ってどう違うの?と言う事です。

同じようでいて、違う‥ようでいて同じ。ははは。

それをまず書いていきたいと思います。

まず、ケアハウスというのは、軽費老人ホームの種類の中の一つです。

実は軽費老人ホームには、A型(比較的に自立している人)B型(比較的に自立している人で食事の提供無し)C型と3つの種類があります。

そのC型に当たる部分の施設を「ケアハウス」と言うのです。

最近では、A型、B型は大体C型に統合されつつあるみたいですね。

そりゃそうだ、そもそも3種類に分かれていているなんて、分かり辛すぎますよね。

また、ケアハウスにはさらに 1,一般型  2,介護型 に別れるというややこしさ。

1,一般型は、AB型と同様に、ほぼ自立の方(要支援ぐらいまでなら可能)向けの施設です。

2,介護型は、軽度から重度までの方に対応しています。

と言う前置きをして、ケアハウスを説明いたします。

・入所可能な介護度 → 一般型は 自立~要支援程度

            介護型は 要介護1以上の方

・年齢条件 → 一般型は 65歳以上

        介護型は 60歳以上

・認知症の受け入れ → 一般型はごくごく軽度なら可能

            介護型は 他者に迷惑をかけなければ可能

・特徴 → 軽費老人ホームと言う事からも他の施設に比べると安価で入居できるという事。

ゆえに、所得制限がある・・のは、軽費老人ホームのAB型のみ。AB型は、所得が34万円以上の方は入れません。

軽費老人ホームのC型(つまりケアハウス)には、実は所得制限はないのです。

他の特徴としては、入所は身寄りのない方が優先される事。一般型は介護度が上がると退去になる事。

一般型、介護型共に個室が与えられプライバシーが保てる等。

・料金 → 料金は自立型よりは介護型のほうが少々お高いものの、6万円~18万円ぐらい。

他の施設と比較するとリーズナブルですね。

ただお安いぶん、人気も高いので、希望すれば入れるというものではありません。

ゆくゆくはケアハウスに‥とお考えなら早め早めに動かないと入れないかもです。

2,特別養護老人ホーム

特養と略して言う事が多いですね。

特養には、その特徴に応じて「広域型特別養護老人ホーム」「地域密着型特別養護老人ホーム」「地域サポート型特別養護老人ホーム」の3つに分かれています。比較的大きな建物であることが多いですね。

1,広域型特別養護老人ホームは、いわゆる「一般的なイメージ」の老人ホームです。定員は30人以上。ここに入りたいと思ったら、住んでいる所がどこでも入所可能です。

2,地域密着型特別養護老人ホームは、定員29名以下の「ホームが設置されている地域」の住民のみが入れるホームです。大きなグループホームと言った所でしょうか。

3,地域サポート型特別養護老人ホームは、家庭で介護を受ける高齢者に年中無休の24時間体制で対応するホームです。

ただし、近年介護者の人手不足と、24時間体制と言うハードさがネックとなり、在宅型のホームは少なくなりました。

では、以下、一般的な「広域型特別養護老人ホーム」について書いていきます。

・入所可能な介護度 → 要介護3,4,5の方。

ただし、要介護1,2の人でも認知症や障害によって日常生活に支障をきたす場合や家族・地域からの支援が期待できない状態に限り、

”特例入所”が認められるケースもあり。(自治体からの許可が必要)

・年齢条件 → 65歳以上。ただし、特定疾病などがある場合は40歳以上でも可能。(自治体の許可が必要)

・認知症の受け入れ → 可能。 ただし著しく他人に迷惑をかけるなど集団生活が出来にくい人は断られる事がある。

・特徴 → 一般的なイメージとしては、病院のように複数人での共同部屋みたいなイメージがあるが、

最近では個室やユニット型準個室(大きな部屋を個別に区切った部屋)等が増え、プライバシーも保てるようになった。

また、介護度3~5の方が主に入所するという事からも、比較的重度の方が入所している。

有料老人ホームやグループホームなどに比べると、安価で入所できるため人気が高い。

(ただし、最近では徐々に値上げされてきており、あまり差がないようになってきている)

また、特養は希望すれば最期まで入所していることが出来るため、終の棲家として入所を希望する人が多い。

・料金 → 10万~15万円ほど。入所一時金などは無し。

3,老人保健施設

略して「老健」と呼ぶことが多いです。

よく特養と比較されますが、特養と老健とは似ているようでいて、全く目的の違うホームなのでお気を付けください。

・入所可能な介護度 → 要介護度1以上。

・年齢条件 → 65歳以上。ただし特養と同様に特定疾病のある方は40歳以上からでも可能。

・認知症の受け入れ → 可能。ただし重度の場合は断られる事もある。

・特徴 → 他の入所施設と大きく違う点は

病状が安定している方の「リハビリテーション」等を目的とした施設と言う事です。

作業療法士や理学療法士、看護師、医師が常駐しており、身体面では非常の安心のおける施設です。

病院では無いので万全とはいきませんが、他の施設と比べれば比較的身体的なトラブルには対応が可能と言えます。

ただし、一方でリハビリなどの訓練の為の施設。つまり在宅復帰を視野に入れている施設ですので

入所できる期間は他の施設と比較するとかなり短いと言えます。

通常は、場合にもよりますが3ヶ月~半年ぐらいで、自宅に復帰する事を目標にリハビリをしていきます。

やっと老人ホームに入れた!と喜んでも老健の場合は、何年もいられるような施設ではありませんので、ご注意下さい。

また、部屋は多床室が多く、個室などは別料金がかかる事が多いです。

ただし、利用者の出入りが多いので、比較的スムーズに入れる施設と言う事は出来ます。

取り合えず、退院してきたけど、いきなり自宅復帰は不安と言う場合に利用すると良い施設だと思います。

・料金 → 7万~14万程。個室に入ると料金がさらに高くなります。

4,介護医療院

ちょっと前までは、「介護療養型医療施設」と言われておりましたが、2023に廃止されて「介護医療院」となりました。

ここがややこしいぞ!・・・介護医療院は介護医療院Ⅰ型・Ⅱ型があります。

介護医療院Ⅰ型は、比較的重度の要介護者に対して医療ケアを提供します。

介護医療院Ⅱ型は、入居者の家庭復帰をリハビリなどでサポートする介護老人保健施設と似たような施設です。

また、これらとは別に居住部分と医療機関を併設した医療外付け型があります。

つまり3つの種類の介護医療院があります。

また、介護医療院Ⅰ型は、さらに療養機能強化型AとBに分かれます。

Aは、Bに比べて身体状況が悪い重度化した人様です。よって、医療的処置、又ターミナルケア(終末期介護)等を多く受けます。

この介護施設は、入院治療などが長期化していてなかなか回復せず、様々な理由で自宅や施設に帰れない人がいる感じですね。

他の老人ホームと違い、医療と介護が一体化した、病院の延長のようなものと考えたら分かりやすいかもしれません。

・入所可能な介護度 → 介護度1~5まで。

・年齢条件 → 65歳以上。ただし特定疾病のある方は40歳以上でも可能

・認知症の受け入れ → 可能。重度も受け入れられる。

・特徴 → 入居の順番は、介護度の高い方、緊急性がある方が優先。よって、早く申し込んでおけば入所できるというものではない。

老健と似たような所があるが、老健と違い長期入所できる。また、重度化した人にも対応できる。

また、入所する際には、かかりつけ医から介護医療院に入所するのが適切かどうかの紹介状や意見書、ケアマネージャーからの情報提供書が必要になります。

・料金 → Ⅰ型とⅡ型で大きく異なる。(Ⅰ型のほうが高額)

症状や利用する部屋などによって異なるので入所前には必ずどれぐらいかかるかの確認が必要です。

とりあえず、細かく書いているとややこしいので端折りますが、大体10万円~20万です。

他の公的施設と比べると、使い方次第では高額になりますが、民間の施設よりは安価です。

まとめ

やはり老人ホームってややこしいように感じます。

外から見たら似たような施設でも、中身も料金もまるで違うなんてどうしてそうなったのやら。

まあでも、普通は看板に「特別養護老人ホーム アールさん」とか「グループホーム アールさん」とか書いてあるので、

ああ、ここはこういう種類のホームなんだな、と分かりますね。

私がもし入所できるなら、安くて快適でず~と住んでいられるホームがいいですが、なかなか難しい所もあります。

身内の方が急に要介護状態となった時、慌てなくてすむようになったらいいですね。


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