介護に関するQ&A


なぜ徘徊するの? 解決方法はあるの?

一郎君

こんにちは。

実はお爺ちゃんの事で相談があるのですが・・

アール

こんにちは。どうぞ

一郎君

じつは、うちのお爺ちゃんが、昼間も夜も外に出たがって困るんです。

昼間は母がいるので、玄関から出て行こうとするのに気がつくのですが、夜は皆寝ているのに、お爺ちゃんだけがそっと起きて玄関から出て行ってしまうので、気がつかない事が多いんです。

夜中に途中で家族の誰かが気がついてお爺ちゃんを探しに行くのですが、それが大変で。もう3回も警察に探してもらいました。

警察の人からも、目を離さないように注意されましたが、いつもお爺ちゃんは家族が寝静まったころに抜け出すんです。24時間見張っているわけにもいかないですし、交代で起きているといいのですが、次の日は父には仕事がありますし、私も学校がありますので、毎日は無理なんです。

アール

なるほど・・、それは大変ですね。

ところで、お爺さんは何で外に出るんでしょうか?

一郎君

え~、何でって言われましても・・。

目的なく、うろうろするのが徘徊じゃないんですか?

アール

ん~。

一般的には、徘徊は認知症の方が、目的もなく歩き回るといった行動を取る症状と言われていますね。でも、「目的もなく」とは言いますが、本当は、目的がある事のほうが多いんですよ。

じゃあ、以下で徘徊の目的と、その予防もしくは対応策について、考えていきましょう。

徘徊の目的とは

一見、意味もなくただただうろうろしているように見える徘徊ですが、実は人それぞれに目的があることが多いものです。

例えば、Aさんと言うお婆さんですが、夕方になると「さ~て」と腰を上げます。

そして、玄関まで行き、ふらふらと歩きだします。家族がどこへ行くの?と慌てて声をかけると、

「早く帰ってご飯を作らないと、子供がおなかをすかせて待っている」と言うのです。

これは、高齢女性に多い目的の一つですね。昼間はよそのうちでお世話になっているが(本当は自分のうち)、夕方になったら帰らなくてはならないと思うのです。

そこで家族が「何言っているんですか、お母さんのうちはここでしょ」と言っても、Aさんは怒って言う事を聞いてくれません。

それはそうです。Aさんにとっては、小さい頃や若い頃に住んでいた家こそが「自分の家」。こんな新築のピカピカした家じゃないのです。

Bさんと言うお爺さんの例です。

Bさんは昼夜構わず、うろうろしています。

しばらく部屋に入ってじっとしているなと安心したのもつかの間、Bさんは自室の窓を乗り越えて、外に出てしまいます。

それが夜間も起こりますので、家族はBさんの部屋の窓に中からは開けられないように鍵を掛けました。

しかし、Bさんはそれをきっかけに余計にうろうろするようになり、いつもどこか不安そうに何かを探しているような気配です。

家族が「お爺さん、いったい何を探してるんですか?外に何の用があるんですか?」と聞いても、何かもごもご言うばかりでよく分かりません。

家族は疲弊して、たまたま会ったBさんの昔からの知り合いで、Bさんの部下であったCさんに愚痴を言いました。

すると、Cさんは「もしかして・・」と言い、後日Bさんに会いに行く事に。

CさんはBさんに会うなり「隊長!C無事帰還しました!」と敬礼。

すると、目もうつろだったBさんは目をパッと見開き、「おお・・よく帰った・・」と一言。それから涙を流しました。

それから、Cさんは「これをお探しだったんじゃないですか?」と小さな古い水筒を渡しました。

それは昔、Bさんが昔大ケガをしたCさんに、「何もやるものが無いが、水だけでも」と渡したものだそうです。Bさんはその水筒をとても大事にしていてたのですが、死にゆく(と思われていた)Cさんにあげていたのでした。Cさん自身もとても大事にしていた為、ずっと残っていたらしいのです。

Bさんは水筒を探していたのか、それともCさん自身を探していたのかは分かりませんが、たまに思いだすことはあるものの、その日から水筒を見るとパタッと徘徊が止まったそうです。

つまり、他から見たら、ただうろうろとしているだけのように見えても、本人にはそれなりの理由があるという事です。

徘徊はなぜ起こるのか

ちょっと小難しく書きますと、

徘徊の根本的な原因は、認知症の症状である「記憶障害」と「見当識障害」によるもので、さらに身体的要因、心理的要因、環境的要因がきっかけとなり行動・心理症状として現れます 。 徘徊の原因は脳の働きが低下することによって起こる認知機能の低下、特に短期記憶障害によるものです。

つまりの話が、徘徊の起こる原因は、いろんなものが複雑に絡み合い、かつ認知症のせいで記憶を保てなくなったためと言う事です。

記憶が保てなくなったから、一度徘徊して外出してしまうと、家へ帰り道が分からなくなります。

また、何をしに外に出てきたのか、目的を忘れてしまいます。

状況が分からなくなると共に、時間もあいまいになりますので、昼間でも夜中でも構わず外に出てしまうというわけです。

徘徊を家族に気づかれず、探すのが遅くなり、何日間もふらふらと歩き回る認知症者もいます。

歩き回って発見されれば幸運ですが、中には途中で事故にあったり、そのまま発見されなかったりする事もあります。

「徘徊」はとても危険な行動ですので、そのままほったらかしにしておくことはできません。

一郎君

ほったらかしにはしてないんですけど・・。

まあ、徘徊に目的がある事や徘徊が危険な事は分かりました。

でも、家族は苦しいんです。どうにかなりませんか。

アール

そうですよね。

徘徊の解決方法ですよね。

もちろんそれをお話しします。ははは(忘れてた)

徘徊を解決する

まあ、これをやったら、徘徊がぴたりと止まる、なんてことはめったにありません。

上記に書いたBというお爺さんの例はまれだと言えるでしょう。

しかし、徘徊が起こりにくい状況に持っておくことは可能です。

まずは以下の事をやってみましょう。

 1,徘徊している人を怒らない

徘徊ばかりをする人に対して「なんでそんなにうろうろするの」「じっとしててよ!」と言いたい気持ちは十分理解できます。しかし、怒っても、その人は不安になったり、イライラしたりするだけで悪い影響しかありません。

また、怒られたことにより、余計に「こんな所にはいられない!」と徘徊の頻度を高める事にもなります。

イライラする事があっても、まずはぐっと我慢しましょう。

 

 2,親身になる

上記しましたように、徘徊には目的があることが多いです。

もし、その目的が聞けるのであれば、ゆっくり話を聞いてみましょう。そこに何らかの徘徊を止めるヒントが隠れているかもしれません。

私が体験しました例では、「飛行機の時間に間に合わない」と焦って玄関を飛び出すおじいさんがいましたが、その際に「飛行機の券は明日の物をとりましたよ。今日はもう飛行機も出ていないですし、明日飛行場に行きましょう」等と言うと「明日だったかね?」と言って自室に帰る人もいました。

 3,気をそらす

実際、目的を聞いても「知らん、とにかく早くいかないと」等と興奮される人もいます。

そういう時には、「分かりました。じゃあ、私が送っていきましょう。でも、縁起が悪いので、一杯のお茶を飲んでからね」等と言って、お茶を飲んでいる間に全く関係ない話をしていると、外に行こうとしていたことを忘れられるという事もしばしばあります。

また、本人さんの趣味や好きな物があれば、それをやってみましょう。

 4,ついて行く

もう何を言っても、効果なし。とにかく出て行く!と興奮される場合は、出て行ってもらいましょう。

そもそも「自分の家に帰る!」と意気込んで外に行かれるものの、実際に自分の家にたどり着ける人はほぼいませんよね。実際にはない場合もありますし。

ですから、しばらくは、もう本人様がしたいように出て行ってもらう。ただし、危なくないように絶対に後ろからついていてください。

本人様が途方に暮れたあたりで、家族の登場。「どうかしましたか?送っていきましょうか?」と声をかけ、自宅まで帰ってきてください。毎回、毎日これを行うのはきついですが、たまには効果的だと思います。

 5,それでもどうしようもない場合には

上記の事をするには、家族もしくは介護者が必要です。

ただし、徘徊が始まったのに家族と同居していない、施設にも入っていないという場合も少なからずありますよね。

と言う事で、家族と同居が不可能な場合は、まずは入所できる施設を早めに探してください。独居の徘徊はとても危険です。

入所が決まるまでの間は、近所の方や民生委員、警察に協力をお願いして下さい。

近所の方には徘徊する可能性があるという事で、もし見かけたら声をかけていただきたいという事をお伝えください。

民生委員さんには、たまに巡回をお願いするといいかと思います。警察には顔写真と本人の特徴を伝え、行方不明になった際には見つけやすくしておかれたほうがいいです。

できれば入所が決まる間だけでも、家族が一緒に生活したほうが安全です。

また、近所には協力を求めづらい、家族も同居が難しい、入所もまだ早い‥そういう場合は、機械に頼るのもありですよ!

見守りセンサーなどの使用

上記に、とってもアバウトに「機械」と書きましたが、それは機械にもいろいろとあるからです。

昔は考えられませんでしたが、今は高齢の家族を見守るために色んな便利なものが開発、発売されてますね。

少しどういうものがあるか、ご紹介いたします。

 ・警備会社の見守りサービス

  警備会社と言えば、・・いろいろありますね。

  その中でも高齢家族の見守りサービスを行っている代表的なものは「アルソック」さん「セコム」さん、「セントラル警備保障」さんでしょうか。(他にもあると思いますが、すみません)

  まあ、私の家などは、貧乏で警備するようなものもないから縁遠いと思っていたんですけど、最近では高齢のご家族の為に見守りサービスをされていますので、普通家庭でも身近な存在になっているように思います。

 警備会社に頼めば、万が一何かあっても、24時間すぐ駆け付けてくれますし、安心です。

 また、警備だけではなく、健康相談が出来たりもします。家族が遠方にいても、まるで家族がその場にいるような対応をしてくれます。

 ただし、デメリットもあります。

 ・田舎ではすぐに駆け付けてもらえない

 ・費用が高額になることがある

 ・高齢者側で機械を操作する必要がある。 等です。

認知症軽度の方で、機械の操作が苦手な方には少し難しいかもしれません。

しかし、やはりプロの見守りですから、安心度は高いですよね。

もし、警備を頼みたいとお考えの方は、各社様々なプランや値段設定があるので、ご検討の上お申し込みください。

 ・スマートホームサービス

スマートホームサービスって言ったらあれでしょ。

「アレクサ、音楽をかけて」とか言ったらその通りにしてくれるやつ。と言う感じですよね。

確かにそれで間違いは無いんですけど、電気つけたり音楽かけたりするだけでなく、スマートホームサービスにもいろいろあるんですよ、これが。

例えば、ちょっと昔からある象印さんの「I-pot(みまもりほっとらいん)」、高齢家族がポットを使った回数が、家族のスマホに届くというあれですよ。私これ、最初に見た時は「すごい、画期的だ」と思いました。

ポットを使った回数が分かってどうすると思う人もいらっしゃるでしょうが、

毎日お茶を飲む習慣がある人が、今日は全くポットを使っていない!となると、もしかして病気で倒れたんじゃないかとか、徘徊して家にいないのではないか等を知ることができますよね。

そういう時、家族が親御さんに電話して確認したり、近所の方に様子を確認しに行ってもらえるというわけです。画期的でしょ。すごいです。

でも、一つ難点があって。それは、もともとポットを使う習慣が無い人には使えないという事ですわ・・。

(編集中、しばしお待ちを)

 

最後に

一郎君

なるほど。

まずはお爺ちゃんの話をじっくり聞いてみようかな。

アール

はい。

徘徊はすぐに治るものじゃないですけど、適切な対応をしていれば少しずつ徘徊の頻度も減ってくると思います。

でも、暴れてしまって家族の手には負えないって時には、医師に相談する事も必要ですよ。入所を検討してもいいかも知れません。

一郎君

わかりました。

アール

無理しないようにほどほどに~


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